失敗するシステム成功するシステム

なぜ、「高価で巨大な給与支給システム」になってしまうのか?

これは、端的に言って、「使いにくい」、もっといえば、「使えない」システムだからです。

人間というのは非常に正直なもので、「不便だな」とか、「自分の役に立たない」と思ったことは、よっぽどの強制的な理由がないかぎり、できるだけ避けようとします。

それは、会社で使っているシステムに対しても同じことです。

・そもそも管理したいデータがすべて管理できない。
・項目があってもデータが入れにくい
・データを入れたのはいいけれど、簡単に、取り出したい形で取り出せない。

そういった状況になったとき、自分でマクロを組んだExcelを使った方が速くて簡単と思えば、だんだんそちらに頼るようになります。

もしくは、システムに少し強い人がいれば、「サブシステム」として、AccessやFile Makerといったデータベースを使って、自分たちで使いやすいコンパクトな機能を作り始めてしまいます。

そうして、使いにくいシステムは日々使われるシステムという地位を失って、必要最小限の情報が単に蓄積されるものになっていきます。

人事情報システム、ということで考えれば、「必要最小のデータ」とは、給与支給に必要なデータです。 これがないと、給与システムから給与を支給することができないのですから、担当者はどんなに使いにくくても、必ずデータをタイムリーかつ正確に投入していきます。

しかし、これが、

・不定期に、でも確実に経営や現場から求められる。
・データの検索や分析方法も、必ずしも定型ではなく、複雑な組み合わせも求められることがある。
・データの提供の仕方は、その時々で柔軟に対応しなければならない。

といった種類のデータ管理になってくると、データを入力するのが大変、しかも一旦貯めてしまったものが簡単に出てこないとなったら、日々忙しい担当者は、自分のシステムに頼るようになるのが自然の流れでしょう。

これが、多くの企業で、つきつめて考えてみると、人事情報システムは、巨大給与支給システム+α程度の役割しか担わなくなっている、という構造なのです。

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